うに

太陽にほえろ!オリジナル・サウンドトラック 70’sベスト
日本人だったら誰でも聴いたことのあるハズであろう
テレビドラマの音楽といえば
太陽にほえろ!」の音楽でしょう。
特にメインテーマ(たらちゃ〜ん)は
何の曲かわからずも耳にしている人はいるはず。


私のとってはバイブル的な音楽であり
今の音楽嗜好への橋渡し的な音楽でもあります。


スパイダースのキーボード奏者であり
当時の日本ではあらゆる鍵盤楽器を使いこなした
巨匠・大野克夫氏の作り出した太陽にほえろ!の音楽は、
TVサントラ史上でも斬新で異質なものだったに
違いありません。
ロック(ロックンロールな内面)なサウンド、
そしてバンド形態による演奏は
後のTVサントラの在り方にも影響を与えました。


大野といえば、もう1人70年代にTV音楽で
大野克夫氏と双璧だった私の好きなミュージシャン
でもある大野雄二氏がいますが、
克夫氏と雄二氏の違いが音楽性の違いであるのは
克夫氏はロック畑、雄二氏はジャズ畑ということで
一目瞭然でしょう。


TV音楽部門では私は大野克夫氏に軍配を上げます。
それは、作曲や編曲の引き出しの多さに尽きると思います。
この人、ロック畑と思いきや、ジャズの理論にも精通してるし
ソウルだってカントリーだってなんだってやっちゃう。
しかも曲の旋律はシンプルながらもしっかりしていて、
たまにトリッキーさもあったりする。
正直何度聴いても飽きない凄さ。


その点大野雄二氏は、プレイヤーとしては凄いんだけれでも
スタイリッシュな曲やサウンドが、わりとワンパターンというか、
私としては1、2回聴けば気が済んじゃいそうな曲ばかりなんです。
ジャズ畑の人らしく非常に高度なことやってるんだけれども、
あまり刺激的ではないんですよね。
ただ単に、カッコいいBGMの域を出ないんです。
TV音楽をやらせたら、わりと凡人かなぁと。
ただ、フォローとして言わせてもらうと、
TV音楽以外の作品は素晴らしいし、大好きです。


1983年の、「太陽にほえろ!」のサウンドトラックとしては
初となるCDでの発売から27年目の昨年1月、
久しぶりのベスト盤ではありますが
作曲・編曲者である大野克夫氏の監修の元で
最新のデジタルリマスタリングを施された
SHM-CD仕様のCDが2枚発売されました。


太陽にほえろ!オリジナル・サウンドトラック 70'sベスト
太陽にほえろ!オリジナル・サウンドトラック 80'sベスト


70'sベストと80'sベストの違いは、
録音された年代で分けた選曲であると同時に
井上尭之バンドと大野克夫バンドによる
演奏者で分けた選曲でもあります。


両者のアルバムに収録された曲というのは、
全て既発の曲ではありますが、
今まで発売されたリイシューCDの音質と比べて
明らかに高音質とあっては、ファンは黙ってはないでしょう。


確かに、今までのチョイこもり気味で柔らかい音質
のCDと比べたら、シャープでいて音のヌケがいいんです。


実は今回収録された曲というのは当時録音された一部でしかなく、
TV用のモノラルミックス等を含めれば、
未リマスター曲は膨大な数として存在します。


私が死ぬまでに、TV用とレコード用の全音源と
絶対に存在するはずである未発表の音源(特にTV用)の
リマスターを実現して欲しいものです。