井上尭之バンド / 太陽にほえろ!'78 (1978年)

1972年の第1話から番組の人気を支え続けてきたベテラン〜中堅刑事達(ボス、山さん、ゴリさん、長さん、殿下)のテーマ曲を制作し収録したアルバム。毎年新任刑事が登場する度に新曲を録音していたのだが、この年はたまたま新人刑事が登場しなかったので、代わりに既存の刑事達のテーマ曲でも・・・、といった事情があったようだ。
既存のそれぞれの刑事に、メロディーは一緒だがアレンジはアップとスローの2パターンの曲を与えた。全体的なサウンドとしては、ヤマハCP(エレピ)やシンセの多用、パーカッションの使用等で、わりと時代に即したものとなっている。
「ボスのテーマ」のアップは、とてもボスの存在感を連想させるようなアレンジには思えないが、スローとなると歌謡スターでもある「裕次郎」の存在を感じさせる名バラード。「山さんのテーマ」はアップ・スロー共に良し、なにせメロディーラインに艶がある。特にアップは、イントロからしてカッコ良く、後年になって聴き込みシーンでも多様されるくらいの名曲である。「ゴリさんのテーマ」は何といってもアップ。あの一風変ったリズムパターンは、アクションシーンには良く合うカッコ良さだし、大野克夫氏お得意のキーでのメロディーも素晴らしい。そして「長さんのテーマ」は、アップもスローも一番にシブく、カッコいい曲。「山さんのテーマ」同様に聴き込みシーン等で頻繁に使って欲しかったくらいの曲だと思う。「殿下のテーマ」は、かなり肩の力の抜けたメロディーとアレンジ。まさに「優しい刑事」のテーマ曲である。