やっぱりグレッグ・ペリー

Mary Wellsという女性ソウルシンガーは、経歴こそ長いものの、あまり目立つことがない地味なシンガーのようです。たしかに彼女の歌声には、これといって感じるものはありません。
1981年にリリースされた『In And Out Of Love』も、やはり彼女のボーカルには物足りなさを感じます。地味な感じ。ただ救いな点が、アルバムをグレッグ・ペリーが手掛けていることです。グレッグ・ペリー独特のメロウ感やリズム感が、このアルバムでも発揮されているから嬉しいですね。エドナ・ライトもコーラスやそのアレンジで参加してますし、彼女のソロアルバムからのカバー曲も含まれ、グレッグ・ペリー色がかなり濃厚です。サウンド面で見れば素晴らしいものを持っているアルバムだと個人的に思うんですけど、ガイド本によると「まるでダメ盤」なのだそうです(笑)。
そのダメ盤の烙印を押された要因は、このアルバムの最後に収録されている唯一ミゼル兄弟が手がけた曲だと思ってます。かなり浮いているというか、70年代の見事な仕事振りはかけらもないような悲惨なものです。1曲目から8曲目までは天国だったのに、最後に来て一気に地獄へ落とされた感覚(笑)。時期の近いテイスト・オブ・ハニーのようなサウンドであったら良かったのにねぇ・・・。